着物の種類と着用シーン|役立つ着物の基礎知識 着付け教室長沼静きもの学院

着物の種類と着用シーン

普段は着ない「着物」は、わからないことも沢山!敬遠する前にこのコラムを読んでみてください。知識をちょっと知るだけで、着物の面白さに気づくかも。

目次

1.着物の種類と着用シーン 「格」

2.着物と季節


1.着物の種類とシーン 「格」

着物は礼装から普段着までさまざまな種類があり、 素材や、染・織によって着物の『格』があります。着物を着用するシーンが、「フォーマルなシーン」か「カジュアルなシーン」かによって着用する着物の種類は違ってきます。それぞれのシーンにどのような着物が相応しいかみていきましょう。

着物
種類別
フォーマルなシーンに着用する着物
黒留袖既婚者の正礼装です。結婚式、披露宴に列席の新郎新婦の母親、仲人夫人、親族の既婚者の女性が主に着用します。
色留袖紋が5つ入っているものは黒留袖と同格です。現在では未婚既婚を問わず着用されることもあるようです。結婚式、披露宴、式典などに着用します。
振袖未婚のお嬢様の正礼装です。花嫁お色直しや成人式、謝恩会、新年会、結婚披露宴の列席等に着用します。
喪服既婚者、未婚者の正礼装です。葬儀や告別式の喪主、家族、参列者が着用します。
訪問着既婚、未婚の区別はなく、留袖、色留袖、振袖に代わる略礼装です。結婚式、パーティ、年賀、式典、
お見合い、結納、入学式、卒業式、茶会、目上の方を訪問するときなど、幅広く着ることができます。
着物種類別カジュアルなシーンに着用する着物
小紋既婚・未婚の区別はなく食事会、美術館、観劇、パーティー等様々な気軽なシーンで着ることができます。
江戸小紋は、色や文様、帯、小物の合わせ方によって略礼装として披露宴や告別式などの参列にも着用できます。
既婚・未婚の区別はなく、食事会、美術館、観劇、ショッピング等様々な気軽なシーンで着ることができます。
黒留袖
小紋

2.着物と季節

日本では、四季の気候変化が比較的はっきりしていてます。寒い冬、気温湿度の高い夏などその季節に合わせた着物を着用することで快適に過ごせるように、着物には大きく分けて、①袷(あわせ)②単(ひとえ)③薄ものの3つの仕立て方があります。帯や小物(帯揚げ、帯締め等)も盛夏とそれ以外の季節では変わりますがここでは特に着物についてお伝えします

①袷(合わせ) 裏地がついている着物

10月~5月 秋~初夏

10月~5月には、裏地のついた袷を着ることができます。暑さを感じ始める5月や蒸し暑さが
残る10月前半は、長襦袢を単(ひとえ)にするなどして少しずつ季節に合わせていくことがで
きます。また、同じ袷でも、10月~2月の秋冬には温かい雰囲気の素材や色柄に、3月~5月
の春・初夏には、爽やかですっきりとした素材や色柄へと変化させるのも季節と着物のコーディ
ネイトを楽しめるポイントです。

②単(ひとえ) 裏地がついていな着物

6月と9月頃

蒸し暑を感じる夏の前後6月・9月頃に着用します。6月後半からは、長襦袢、帯、小物は夏物に、       また逆に9月の前半は、長襦袢、帯、小物は夏物、9月後半からは長襦袢、帯、小物は冬物に替えて、      少しずつ季節の移ろいが変化していくように着物も替えていきます。
昨今は、5月や10月前半も蒸し暑さを感じることが多くなり、単も5月や10月前半頃に着用する       こともあります。

③薄もの(うすもの) 裏地はついておらず、透け感のあるように織られている着物

7月・八月 盛夏

気温が高く特に湿度の高い日本の夏に合った仕立てが薄もので、7月8月の2か月間着用します。
長襦袢、着物、帯、小物を夏用の着物に替えることで風通しが良くなり、着心地が大変良くなります。夏用の着物には、日本に古来からある湿気の調整に優れた「麻」の素材や、「絽」など通気性のある織り方の着物姿は、見ている方が涼し気に感じたり、日本の夏を感じる素敵な瞬間でもあります。
夏は暑いので着物を敬遠されている方も、機会がありましたらぜひ夏の薄ものの着物も見てください。

季節によって着物の仕立て方は守らないとだめ?

昨今の日本は、気候変動によって4月から蒸し暑い日もあり、また10月頃まで暑さを感じる時もあります。気軽なお食事やお出かけの場ではゴールデンウィーク頃から10月前半頃まで単(ひとえ)で着物を楽しむ機会も増えています。昔は「更衣(衣替え)」といって、日付によって着物の仕立てを替える習慣もありましたが、現在は、着物と季節はきまりでなく、気候の体感によって着物の仕立てを選ぶことも着物の楽しむ上で大切になってきています。ただし、「暑いから~」ということで薄もの(盛夏用)を9月、10月以降に着ることは、着物姿を見ているが方が着物が季節とずれているかなと感じることがありおすすめはしません。日本人の季節感と着物については、また着物の柄と季節などのテーマでお伝えしていきたいと思います!

まとめ

 着物には「格」があり、着るシーンによって着物の格を選ぶ必要があります。結婚式や式典などフォーマルなシーンには格の高い着物を合わせます。もちろん着物の着方は自由で厳密なルールはありませんが、様々な方が集い、思いを一つにするようなフォーマルのシーンでは、参加者のお気持ちと着物の「格」が調和した装いがエレガントです。また、カジュアルなシーンには、フォーマルなシーンに着用するような正装の着物よりも、着る人のセンスや好みを活かして着物の織や柄や、小物選びをしてみましょう。そして、着物と季節については、着る季節に合わせた着物の仕立てがありますので、ぜひ日本の季節に合わせた仕立ての着物を着て、春夏秋冬、心地よく着物を楽しんでみてください!