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元服とは?成人式の起源をたどる日本の伝統儀式

きもの豆知識 季節の小ネタ

日本古来の「元服(げんぷく)」は、成人式のルーツともいえる伝統儀式です。

2024年大河ドラマ「光る君へ」の作中に、元服という言葉が度々登場したことで、その意味や内容に興味が湧いた方も多いでしょう。
本記事では、元服の歴史や現代の成人式との違い、さらに振袖や紋付羽織袴といった衣装について詳しく解説します。

元服とは?その歴史と意味

元服は加冠(かかん)とも呼ばれており、奈良時代から明治時代まで、男子が成人したことを表すために行った儀式です。
ちなみに「冠婚葬祭」の“冠”は、元服の際に冠を頭にかぶせたことが由来で、成人式や七五三など「人生の節目の祝い事」を意味しています。

元服の起源と歴史

古代中国の風習を模して行なわれた元服は、奈良時代以降、12〜16歳くらいの男子が成人になったことを認める儀式として広まりました。
とくに平安王朝の貴族社会においては、元服後に位階を授けられるため、通過儀礼の中では最も重要なものとされていました。

江戸時代になると、庶民の間でも元服の儀式が広く行われるようになりました。ただし、公家や武家のように冠や烏帽子をかぶるのではなく、儀式を簡略化し、前頭部から頭頂部のいわゆる月代(さかやき)を剃るヘアスタイルにしていました。

女性の場合、奈良・平安時代から戦国時代頃までは裳着(もぎ)という成人の儀式がありましたが、江戸時代以降は男性と同じく元服と称され、髪結いの儀式などを行っています。

平安時代における元服の内容

平安時代の元服の儀式では、髪型や衣服を大人と同じようにしたり、幼名を改めたりしました。

元服の儀式で子供の髪型の代名詞である総角(あげまき)から、髪を結って冠や烏帽子をかぶるようになります。また、衣服は闕腋(けってき)という両脇の下が開いている衣服から、両脇が縫い合わせてある縫腋(ほうえき)へと変わります。
さらに、多くの場合は元服の儀式を終えると、それまでの幼名を廃して改名を行いました。

元服の儀式を行うことで見た目も変わり、社会的に大人として認知されるようになるのです。

現代の成人式と元服とのつながり

元服の儀式が家族を中心に行われたのに対し、現代の成人式は地域全体でのセレモニーへと変化しました。
現代のように地域の新成人が集まる成人式は、戦後の1946年に埼玉県蕨市で行われた「青年祭」が発祥とされています。

元服の儀式も成人式も、個人の成長を家族や地域で祝う重要な式典です。どちらも社会的に大人として認められる儀式であり、社会の一員としてのスタートを切ります。

成人式に「振袖」と「紋付羽織袴」を着る理由

成人式では、多くの新成人が華やかな振袖や紋付羽織袴を着用します。これらの衣装は格式が高く、大人としての自覚を持てる晴れ着です。

振袖

振袖は、未婚女性の最も格式高い礼装です。長い袖丈が特徴的で、若々しさや清らかさを象徴しています。
振袖の起源は振り八つ口(ふりやつぐち)と呼ばれる子供用の小袖で、江戸時代には若い女性や元服前の男子も着用していました。
諸説ありますが、「袖を振ることで厄を払う」という意味から、袖丈が徐々に長くなったといわれています。

また、戦前は黒地五つ紋付模様物振袖が花嫁衣装でした。明治以降は若い女性の礼装用として、華やかで若々しく縁起の良い柄の振袖が好まれています。

成人式に着用する振袖の柄は、縁起のいい吉祥文様(きっしょうもんよう)がおすすめです。「松竹梅」「鶴」「扇子」「熨斗」などは、おめでたい式典にふさわしい柄といえるでしょう。

紋付羽織袴

紋付羽織袴は、成人式や結婚式などの正式な場で男性が着用する礼装です。家紋がついた羽織を袴と合わせて着用します。
江戸前期には裃(かみしも)と呼ばれる武士の正装がありましたが、徐々に羽織と袴を合わせるようになり、明治時代になると五つ紋の黒紋付羽織袴が正式に礼装として定められました。

成人式の紋付羽織袴の羽織は黒色でなくても構いませんが、人生の節目となる式典なので、できれば自分の家の家紋を選ぶといいでしょう。

ちなみに、袴に入っている縦のヒダに加えて、横方向にも2本のシワが入っていることがあります。この横のシワは「たたみジワ」で、正しく袴をたたむと自然とできる折り目です。きれいに保管している証拠なので、アイロンでのばす必要はありません。
さらに、この折り目は「折り目正しい」という日本語の語源でもあり、着物をきちんと畳むことでできる美しい見た目から「礼儀正しい」や「きちんとしている」という意味があります。

まとめ

元服は、現代の成人式の起源ともいえる日本の伝統儀式であり、大人への第一歩を祝うものでした。
また、振袖や紋付羽織袴といった成人式の衣装には、それぞれに歴史や深い意味が込められています。

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